「はい、もしもし。僕だけど」
「うん、今大丈夫だよ。ちゃんは……多分もう寝たと思うけど、電話代わる? そう? 声、聞かせてあげれば良いのに。ミクリがそう言うならいいけど。うん。元気にしてるよ。そう? 別に僕は変わりないと思うけど。ちゃんも元気、だと思うよ。えっ、ちゃんと面倒見てるって! いやいやそれくらいはちゃんとするよ僕も。ただそこまで話、しない、し……。……分かるわけないだろ。ミクリには悪いけどまた女性が苦手になったかもしれない。いやもちろんちゃんはいい子だけどさ、いちいち戸惑うんだ。彼女に対してどう動いたら良いかすぐ分からなくなるし、なんていうんだろう。やっぱり怖い、のかな。……うん。まあ当然だよね。自分の好きなことだけし過ぎたかなぁって。……、……バレた? 後悔はしてないな。するわけないよね。やっぱり石を触ってるときが一番落ち着くっていうか、嫌なことを忘れられる……。言ったはずだよ。僕は別に一生このままだって構わないんだ。僕は僕でいたい。……なんでそういうとこだけムキになるんだ? 分かったから怒らないでよ。ごめん、悪かった。で、そっちはどうなの。……ふーん。……へえー。あはは。ミクリらしい。ちゃん? うん、どうしたら良いんだろうね。君は簡単に帰って来れなそうだし。彼女は君に会いたがっているよ。……追い出すって。そんな酷いことできるわけがない。そうだな、せめて彼女が帰りたいって言うまでは僕も頑張るよ」
「うん、じゃあね。まぁ、そっちも頑張って。はいはい、分かったから。じゃあね、おやすみ」