間違えたくない


 ここはあくまでシュートシティ店。私はヘルプに来たまで。どうしても足りない人手を補うために来たのであって、お店の根幹に関わる気はない。責任だってとれない。
 だけど、今回はトラブルの中心人物から話しかけられてしまった。

 トラブルと言ったものの、そこまで大袈裟なことではない。話を聞くと、他のスタッフさんが店舗の倉庫に補充に行ったところ、なぜか店舗の倉庫に迷い込んだ。最初は泥棒かと思ったとのことだ。恐る恐る正体を確認すると、チャンピオンだった、とのことらしい。
 泥棒よりチャンピオンのほうがもっと衝撃的だっただろう。見つけた人の心中を察してしまう。

「方向音痴には慣れてるけど、倉庫って……」

 うちの店舗によく侵入しているのはクスネだ。ダンデはもしや、3分の1くらいポケモンか何かなのだろうか。誰よりもこういう事態に慣れっこなダンデは「オレも驚いたぜ!」と申し訳なさそうにしつつも、どこかあっけらかんとしている。

「すみません私、この人と知り合いで」
「チャンピオンと!?」

 やっぱり相当驚かれてしまった。予想していたとはいえ、恐縮で私は肩を縮める。

も以前はポケモントレーナーだったんだ」
「そういうわけです……」

 周囲の無言が私に刺さる。皆さんが驚いているのはどちらの意味だろう。私の過去がポケモントレーナーだったことだろうか、それともチャンピオンがやはりなんでもないスタッフに親しげにしていることだろうか。
 私はあまりトレーナーっぽい見た目でもないし、実際今はモンスターボールひとつ持っていないので、意外ではあるだろう。でも何よりダンデという男の強い存在感に周りは圧倒されているようだ。

 キバナはうちのナックル店の常連だ。ほぼ毎日来てくれるし、来ればとりあえず私も挨拶をするしで、職場内で驚かれることは既になくなっている。
 一般人と、超有名ポケモントレーナーとが並べば普通はこういう反応になるよなぁ、と感慨深いものがあった。こちらの反応の方が当たり前なのだ。

「で、ダンデはどこに行くつもりだったの?」
「シュートスタジアムだ」
「次の予定は?」
「式典前の打ち合わせがあるが、おそらく始まってしまっているだろうな」

 なるほど。時間は迫っている、と。
 今回は町という単位見ればダンデは十分目的地にたどり着けている。彼にしてはかなり健闘したと言えるだろう。試合直前になってもワイルドエリアでさまよっていることも多々あるので、正直すごくラッキーだ。
 まだ目を丸めているスタッフさんたちに向き直る。

「とりあえず、私が対応にあたっていいでしょうか……。彼を一応知っている人間とはしては、このまま放置するのは全くおすすめできません」

 もちろんお店側にダンデの面倒を見る義務はない。ただ、このままダンデがスタジアムにたどり着けないと、大きなニュースになってしまうのは目に見えていた。

「ヘルプで来てる身ですのに抜けてしまうのは心苦しいですが……」
「いやさん、早く言って来た方がいいよ」
「急いだ方がいいみたいだしね。ダンデさんがたどり着かなかったら色々と大騒ぎになるだろうし」
「シュートスタジアムまで送り届けたらすぐ、走って帰ってきますので、行かせてもらえないでしょうか?」

 とりあえずそう時間帯責任者に伺いをたてると、まだここにチャンピオンがいることの驚きを引きずりつつもも頷いてくれた。

「そうだね。チャンピオンが無事にスタジアムにたどり着くのは、この街にとって大事な仕事だから頼むね」








「絶対、絶対手を離さないでね!」

 ダンデが私から絶対はぐれない方法を考えた時、やっぱり一番は手を繋ぐ方法だった。幼子みたいだけど、手さえ握ったままならとりあえず安心できる。だけど一目が気になるし、私自身もなんだか気まずいので却下。
 町ゆく人に変な目で見られず、ダンデにぴったりと私に付いて着てもらう方法として次に考えたのは、私の手荷物をダンデに握っていてもらうことだった。
 私が身につけたカバンの紐をほとんど手に何重にも巻いて握ってもらった。これなら変な誤解を生むことがない。ダンデの方向音痴は有名な話なので、道案内してると周りの人も理解してくれるだろう。

 ダンデが紐づいたカバンを、後ろからゆるくひっぱる力を感じながらシュートスタジアムへの道を歩いている。
 時間が押しているということで、私は少し早足。けれど、ダンデの歩幅は大きく、悠々と付いて着てくれている。

「スタジアムへの道、も知ってるんだな」
「ええ? 当たり前でしょ」

 というか地方からポケモンバトルを見に来た人でも迷わないよう、街のあちこちには看板が設置してあって、初めての人でもたどり着けるようになっている。文字も大きく、わかりやすく、かなり親切だ。それでも迷うのがダンデなのだけど。やはり彼の方向音痴は天性のものなんだろう。

「私だって、ここを目指してジム巡りをしてたんだから。知ってるに決まってるでしょ」
「でもは、スタジアムにいやな記憶を持っているタイプだからな。俺の周囲ではかなり珍しい」
「そう? ダンデにこてんぱんに負けたら、誰でもしばらくはスタジアムの悪夢でも見そうなものだけど」
「それも楽しみのひとつじゃないか?」

 いい笑顔でダンデが言う。うわあ。

「ダンデはいつだって、こてんぱんにする側だからね……」

 だからダンデはそんなに軽く、”楽しい”って言えるのかもしれない。けれど私が思う”負け”とはもっと苦しい。苦しくて、重い一撃に打ちのめされるようなもので、立ち上がるのには今までの何倍も勇気が要る。

「何言ってるんだ。負けの苦しみも勝負の面白さだ。本気だったからこそ、苦しむんだろ。苦痛は、真剣さの証明にもなるさ」
「うわあ」

 さっきのは堪えたのに、今度のは思わず声に出してしまった。
 本気の勝負を尊ぶあまり、苦痛さえも受け入れようとする。その狂気に引いてしまうあたり、私にはやっぱりポケモントレーナーや勝負の世界は向いていなかったんだろうな。今更再確認してしまった。
 ちらりと振り返ったダンデは全く堪えた様子がなくて、むしろ楽しげだ。

「私は、痛いのも悔しいのも辛いのも苦手だなぁ」
「そういうキミがオレには興味深かったんだけどな」
「え?」

 歩きながら、ダンデは過去の私を思い出しているようだった。

は臆病な節がある。だからバトルをどうにかなるとは絶対考えない。相性の有利だけでは気が抜けず、徹底的な勝ち筋をいつも探しているタイプだった」
「う、ん」
「ステージの向かい側で、女の子だし小さい体だなと思って最初は見てたが、次第に驚かされたぜ。キミはものすごく獰猛に勝ちを探していたから」

 獰猛って。私に似合わない言葉だ。

「なんでだろうって考えて気づいたぜ。キミにとって負けることは恐ろしすぎて、徹底的な勝ちじゃないと、安心できない。見てるうち、戦っているうちにわかった。ただそういうプレッシャーは重かっただろうな、とも」
「うん、まあ、……」

 私は言葉を濁す。ダンデが私たちの間に呼び戻している、ポケモントレーナーだったころの私。白いユニフォームを着ていた私。あの頃に呼び戻されて、私が感じているのは、ダンデに暴かれようとしているという危機感だった。

「まだあるぜ!」
「え、な、なに?」

 自分のバトルのことは、あまり続けたい話ではなかった。
 ダンデの明るい口調に救われ、私は慌てて乗っかった。

「ポケモンとの絆だな!」
「そ、そうだったの?」

 私は目を丸めつつ、笑む。自分のポケモンたちのことを褒められるのは素直に嬉しいからだ。

「ああ。昔からの仲と言うだけあって、たちの仲の良さが羨ましかった。あのトゲチックとトゲキッス、本当にを信頼していた」
「うん。仲は、良かったね」
「憧れたこともあったんだぜ。ヒトカゲとはいい感じでもパーティ全体の結束となると難しくなってくる。あの時期、その点についてはが一番だったんじゃないか?」
「も、もうそれくらいで!」

 私なんかをはるかに超えて、もう10年も勝ち続けているチャンピオンにそれを言われると、恐れ多い。
 でも、自分の良いと感じたものを良いと伸び伸び言えるダンデはさすが、強者の余裕を感じさせた。

。今日の仕事は?」
「えっ。18時までだけど……」
「オレの試合は19時からだ」

 そうなんだ、と相槌を打とうと思った。でも声にならなかった。おそらく、ダンデが言わんとしてることの予想がついていたからだ。

「十分間に合う。席ならオレがなんとでもする。良い席とは言わないがな」
「………」
も、今日ここにいるならスタジアムに来て、チャンピオンタイムを楽しんでいってくれ」

 ぐっ、と喉が詰まる。早足で歩き続けたせいか、ダンデの言葉か、胸がきゅっと摘まれたように痛い。思わず足を止めそうになった。止めなかったのは、強がりだ。

「……誘ってくれてありがとう。でも、ごめんね。やめておく」
「なぜだ? キバナとのマッチじゃないから、キミも楽しめるはずだ」

 なんだ、知っているんじゃないか。私がスタジアムを避けているのは、キバナへの感情が関係してると。
 どこまでかはわからないけれど、ダンデは知っている。そう思うと、話すことはできた。

「うん、私が一番応援したくて、でもできないのはキバナなの。なのに、ダンデの試合を見て、キバナの試合見ないなんて、不義理というか……」

 何より、いろんな物事に対して、言い訳できなくなってしまう。
 彼が差し出すチケットを、受け取らずに押し返してきた。キバナにもごめん、と伝えてきたし、心の中で何度もごめんなさいを言い続けてきた。行けない自分を許したことは、一度もない。
 それに、キバナは私がスタジアムという場所が苦手なのだと思っている。ここでダンデのバトルを見に行ってしまったら、今までの謝罪が嘘になってしまう。私の虚勢も、崩壊してしまう。

「あ、キバナは自分のためだけに戦ってるってわかってるよ! もちろん私自身がそうしたいから、こだわってるに過ぎないの」
……」

 ずっと歩き続けていた足を、私は止めた。ここは、真剣にダンデに言わなきゃいけないと思ったから。誠実に、伝えないといけない部分だ。私のカバンの紐をしっかり握ってくれているダンデに向き直って私は自分の答えを口にした。

「だからこそ、ダンデ、ごめんね。私がスタジアムに行く時は、バトルを楽しむためじゃなくて、やっぱりキバナを応援して、彼の姿を見届けるためがいい」

 ダンデのことは応援しない。私はキバナの側に立つから、あなたのサイドには行けない。彼にそう告げたも同然だ。なのにダンデは晴れやかな顔をしていた。

「その答えは好きだな、らしくて」
「ありがとう。でも本当に、ごめんなさい」
「いや、良い。でもこれで、ますますキミはいつかキバナの試合に行くしかなくなったな」

 ほんと、ダンデの言う通りだ。ガラルで一番人気のダンデの試合を断ったのだ。自分で自分の退路を塞いだようなもの。
 でもやっぱり、私にとって譲れないものであるのも確かだった。

「見えてきたな、シュートスタジアム」
「うん」

 ダンデの言う通り、道の向こうに赤く透き通ったドームの天井が見えている。

「キミの職場に穴を抜けてるんだ。ここまででもいいぜ」
「いや、心配だから誰かに引き渡すまで責任持つよ。ちゃんと試合が開催されてくれないと、私がここにきた意味が本当になくなっちゃう」
「もうすぐ心配いらなくなるさ」

 ダンデが視線を向けた方を見ると、すでに自然発生しつつある人だかりを縫うようにして、リーグスタッフがこちらに向かってくるのが見えた。
 人々がチャンピオンに気づいていて、ざわめきの中には「チャンピオン、また迷子かな?」という囁き声が混じっている。きっとダンデはこのままファンによってスタジアムにたどり着けるだろう。私の仕事は、無事終えられそうだ。

「キミのお店にも迷惑かけてしまった。……そうだ、せめてこれでも持って帰ってくれないか?」

 ダンデが取り出したのは手のひらサイズのカード。リーグのファンなら誰でも欲しがって集める、リーグカードだ。

「せっかくだから宛名も書こう。なんて書けばいいかな?」
「シュートシティ店スタッフのみんなへ、とか?」

 ダンデは私のポケットに刺さっているペンを指差す。私が引き抜いて差し出すと、ダンデはさらさらっとカードにサインを書き加えた。

 渡されたカードを見て気がついた。絵柄が新しくなってる。
 ダンデは相変わらずチャンピオンポーズを決めているものの、背景、ライティング、それに加工が細かくグレードアップしていて少年心をくすぐる綺麗さだ。これはレアものっぽい。

 私が思わず見入っていると同時にリーグ委員会のスタッフがダンデの元にたどり着いた。とりあえず、これで一安心だろう。

「驚かせてすまなかった、ということと、お礼をよろしく伝えておいてくれ」
「了解」
「じゃあ行ってくる!」

 ダンデが大きく手を振った。それを最後に、彼は本当に皆のチャンピオン・ダンデに戻ってしまった。集まってきた人々に、サービスをしつつ、スタッフさんたちに引っ張られていく。

 送り届けたら走ってお店に戻る。そう宣言したつもりなのに、私は後ろ髪を引かれ、ダンデが見えなくなるまで見送ってしまった。
 なんだかんだ心配で、ダンデが気になる。スタジアムの中、スタッフさんに手渡すまではしたものの、彼の方向音痴っぷりを知っていると、スタジアムに立つ姿を見るまで安心できない。でもそこまで見届けることは私にはできない。振り切るように、私は来た道を駆け足で戻った。

 シュートシティの舗装されたを、人の流れに逆らって走る。息が上がって来て、心臓が早まって、でも私の意識は深く落ちていくような心地があった。

 駆け足を続けながら、私は思い出していた。心配なんだ、と難しい顔をしたキバナに言われたこと。いつか全部投げ捨ててそのまま消えてしまうんじゃないか、と続けられたことも、次第に思い出して来た。
 記憶の中で私は確かになんだそれ、と一笑していた。だって子供に言うならまだわかる。けれどすでにジムチャレンジに対して自分なりのケリをつけた私は、挫折を通して、大人だと言い切れずまでも、子供じゃないという自覚があった。
 もう一人で生きようとする私を真剣に不安がるキバナは、ちょっと、理解できなかった。
 でも少し早く大人になった私にキバナは真剣さをぶつけてきた。心配だ、と。

 私がさっきダンデに対し、抱いたものも心配だった。心配な人間はその姿を確かめたいと思う、不安が否定されて欲しいと願ってしまう。
 キバナも、そうなんだろうか。あの時から相応の時間が経っているけれど、もし、彼の気持ちは変わっていないのなら。
 走り続けて心臓は苦しい。呼吸も速くなっている。だけどキバナが習慣のようにコーヒーを買いに来る理由の端っこが、見えた気がして、私は夢中で追いかけるように足を早めた。







 シフト通りの18時上がり。私は汗を拭いて着替えをすませると、事務所にある椅子に、少し座らせてもらって、スマホロトムを呼び出した。
 もうお店で店長から聞いたかもしれないと思いつつ、メッセージを打つ。

『今日から四日間、シュートシティヘルプです』

 とりあえず伝えたいことを書いたものの、やっぱりわざわざ知らせるのは変だ。ううん、と少し唸ってから、文面を改定する。

『今日から四日間、シュートシティヘルプです。何かおすすめのお店やお土産あったら、教えて欲しいかも』

 うん、これならまだ変じゃない。送るとすぐに、真顔に近い表情をした、モルペコのスタンプが送られてくる。微妙にシュールでかわいいけど、威圧感も覚えるモルペコは、私に何が言いたいのか全くわからない。

『オレさま宛にも買ってくるなら教えてやろう』

 私はすぐさま、私の出せる最高速度で文字を打って、返した。

『言わなきゃよかった気がしてきた!』

 にも関わらず、キバナからは無言でお店の情報が投下される。すぐ近くにあるベーカリー&パティスリーのお店だが、すぐに追加のメッセージが届く。

『ここの茶菓子、特にパウンドケーキはオレさまもジムトレーナーたちも大好き』

 わざわざ品物のリクエストつきだ。差し入れろ、ということだろうか。
 まあいっか。私はキバナに迷惑かけることもあるし、日々色々もらっている。彼に損をさせられた経験は思い返す限りは無いのだ。そういうところで、キバナは育ちの良さを感じさせるというか、ちゃんとしている。
 どこかでタイミングを見つけて、買いに行こうと私は心に決めた。

 最初のモルペコのスタンプだけ、何度見ても言いたいことが伝わってこないものの、いつもの調子のキバナに思える。
 やっぱり私の行き過ぎた心配だったようだ。四日間もお店にいなければ、キバナに余計な心配をさせてしまうかもなんて。やっぱり、キバナは私にとって、距離のわからないひとだ。どこに分類したらいいのか、私にもわからない。
 今日はいつもの仕事より走らされた体が、ふう、とため息をつく。さっさと帰って、明日も早起きしてここに来なければならない。スマホをしまって、足に気合を入れ直して立ち上がろうとした時、再度、キバナからのメッセージ。

『お疲れさん。教えてくれてありがとうな』

 シンプルで、特別な言葉ではない。なのになんとなく、嬉しくて、元気をもらえる言葉が届いてしまった。
 やだなあ。こういう些細なことでもキバナに連絡すると、いいことがあると学習してしまいそうだ。顔に不自然に浮き出しそうになるニヤニヤに必死に抵抗して、でも負けてしまいそうになって、私は誤魔化すように上を向いたり下を向いたりしてしまう。

 不意に話しかけて来たのは、以前も何度かお会いしたことのある女性スタッフさんだった。

「あ、さんの彼氏さんですか?」

 ぱちん。なんの音かというと、私がスマホロトムをそこそこの勢いをつけ、両手で挟んだ音だ。
 びっくりしたのかくすぐったかったのか、両手の狭間でロトムが抵抗している。かなり遅れて、やっと私の声が出た。

「ちちちちちちがいます!」
「えー、その顔怪しいですよ?」
「違いますって! ……え、見ました?」
さんがニヤニヤしてることろだけ、バッチリ見ました」

 十分恥ずかしいものの、私はほっと胸をなでおろす。画面をちょっとでも見られてたら危ないところだった。
 メッセージの送り主の名前が”キバナ”ともろに出ているし、アイコンも自己主張強い彼らしく、自分の顔になっている。今はガオーなポーズを決めている彼である。もちろん自撮りだ。危ないところだった。ここは理解あるナックルの店舗ではないのだから、多分気をつけた方がいい。
 私はメッセージの相手、それから彼氏ではないことを必死に否定しながら、逃げるように事務所を抜け出した。


 後日、この画面に思いっきりでてしまっているキバナという名前とアイコンをどうにか隠す方法をないかと本人に聞いてみた。だけど、ニヤニヤとした顔で「絶対教えない」と意地悪をされてしまった。教えない、ということは方法はあるんだなと掴むことはできたものの、機械音痴の私がニックネーム機能に気がつくのはもっとずっと、後になる。